実習生が入国して来ました。
大きなスーツケースにボストンバッグ。そして、リュックサック。 いつも思いますが、実習生が入国してくるとき、その大きな荷物に感心します。 涼しくなってきて良かったですが、夏だと重くて暑くてたいへんです。 いったい何をそんなにたくさん持って来ているのでしょう。 技能実習生たちの荷物には、これから日本で生活するために必要最低限のものが入っています。 今日はちょっと荷物の中身を教えてもらいましょう。
必ず持ってくる持ち物
• 着替え
季節に合わせた服や仕事用のシャツ、ワイシャツ、普段着など。中には、母国の伝統衣装を持ってくる方もいます。 ベトナムの女性だとアオザイ、インドネシアの人だとバティックと言う模様のあるシャツを必ず持って来ていますね。 南国からくる人たちは、日本の冬のためにオーバーやダウンジャケットが必要になりますが、それを母国でたくさん買って来る人もいます。日本より安い場合があるからです。
• 筆記用具・日本語教材
ノートやペン、辞書、教科書など。 『みんなのにほんご』という日本語の教科書と問題集を、どこの国の人も持って来ています。 入国してすぐ研修センターで入国後の講習を受けます。日本語も勉強するので、日本語教材は必須なのです。
• 常備薬 風邪薬や胃腸薬、痛み止め、食あたりの薬、ばんそうこう、虫刺されの薬など、必要最低限の薬を持ってきます。 日本の医療費も高いかもしれないと、普段薬なんか飲まないけれど、万一を考えて持って来るのでしょう。 みんな若いから気にしないかもしれません。お母さんが持たせてくれるのかもしれませんね。
• 保存食(インスタントラーメンなど)
慣れない食生活に備えて、インスタント麺や乾物などを持ってくる方も多いです。 これらを上手に使えると、食費を抑えることができますからね。これも、ご家族が持たせてくれたのかも。
干しキクラゲ・干しシイタケ・干し豆腐・唐辛子・干しテンペ・干し魚・ドライフルーツなどなど
干しキノコや干し魚を持って来て、上手な人はこれで美味しいスープを作ったりします。 うまく使えなくて、3年間スーツケースの中で眠ったままという人もいたりします。
• 母国の調味料 懐かしい母国の味は、外国で元気に暮らすために一番大切な物かもしれません。 ナシゴレンの素、サンバル、フィッシュソース、ニョクマム、マムトムなど、国によってさまざまです。 日本では手に入りにくかったり、高かったりしますので、みんな自分の好きな味を持って来ます。 普段は使わないで、みんなが集まった時やパーティなどの特別な時にだけ使ったり。
• スマートフォン
家族や友人との連絡手段として欠かせません。翻訳アプリや地図アプリなども活用されています。 昔は電話カードを使って、公衆電話から電話をかけていたものでした。隔世の感がありますね。
• バリカン(人によっては)
自分で髪を切るために持ってくる方もいます。節約になりますし、上手にできると仲間に喜ばれます。
• 宗教関連の品(ムスリムの方など)
イスラム教徒の方は、皆さん必ずコーランを持って来ます。 お祈り用の敷物を持って来る方も。女性は必ずヒジャブを持って来ます。
・タバコ タバコを吸う人は、母国からタバコを持って来ます。皆、日本はタバコが高いということを知っているようです。 「一人2カートンまで税金がかからない」ということは皆知っているようで、だいたい一人2カートン持って来ます。 中には、吸わない人に持ってもらって多めに持ち込むちゃっかりした人もいます。
日本に持ち込めない持ち物
一方で、持ってきてしまうと税関で没収されてしまうものもあります。
• 干し肉(ビーフジャーキーなど)動物由来の食品は、検疫の対象となり、持ち込みが禁止されています。
• 野菜の種子 農業関連の物品も、植物防疫上の理由から持ち込みが制限されています。 宿舎の庭で畑を作ろうと、野菜の種子を持って来る実習生がいますが、残念ながらこれは没収されてしまいます。
これらは、皆さん知らずに持ってきてしまいます。 知らないで持って来て没収されてしまうのはかわいそうですが、防疫上の理由がちゃんとありますので、注意してほしいところです。
実習生が一時帰国する際にも、万が一にも持ってきたりしないよう、企業の方は実習生に教えてあげてください。
まとめ
技能実習生が持ってくる物には、それぞれの生活習慣や文化、そして日本での生活への期待が詰まっています。 研修センターでは、 こうした背景にも配慮しながら、安心して日本の生活をスタートできるようサポートしていきたいと思います。