今日はみんな大好き、お弁当の話題です。 お昼になると、会社の休憩室や食堂のテーブルにさまざまなお弁当が並びます。その中には、外国人実習生たちの手作りのお弁当も。
お仕事がひと段落したつかの間の休憩時間、お昼ご飯は私たちにとっても彼らにとっても大切な時間です。
多くの実習生は、経済的な理由から自分でお弁当を作っています。「会社のお弁当はちょっと高い」と言う人も。
「日本料理は口に合いません」と申し訳なさそうに言う人もいます。
宗教的な理由もあります。インドネシア出身の実習生はムスリムの方が多いので、豚肉やアルコールを含む調味料を避けたいという理由で、自分でお弁当をつくります。中には、ハラール(イスラムの戒律に対応した食材)を使ったランチを用意してくれる社員食堂がある会社もあるようですが、全ての会社にそれは望めません。ここは日本。外国暮らしは日々の工夫が欠かせません。 実際、日本の食文化に馴染むのも簡単ではないようで、「(日本料理は)塩辛すぎる」「甘すぎる」「スパイスが足りない」「なんでも醤油の味、同じ味」「辛みが足りない」など、我々が誇る日本料理は、意外なくらい外国人実習生たちには人気がありません。
たまになら外国の料理も気分が変わって楽しいものですが、家族と離れて一人日本で暮らしていると、食事だけは食べ慣れたものが欲しくなるのでしょう。故郷の味は、健康を守ることのほか、家族との繋がりを忘れないためにも大切な事なのです。
それでも、2年目3年目ともなると、会社のお弁当を食べている人たちがだいぶ増えてきます。 会社の人に連れて行ってもらったのがきっかけで、牛丼チェーン店にハマる人も見かけます。慣れた実習生には「安いし量が多いし美味しい」「注文が簡単」と、気軽に楽しめる外食として人気があるようです。 ラーメンもたいへん好まれるようです。間違ってムスリムの実習生が豚骨ラーメンを食べてしまって、「知らないで間違って食べたけど、美味しかったです! また食べたいです!」なんて言っている人も。 日本の味に少しずつ触れながら、自分のスタイルを見つけていく姿は、頼もしくも微笑ましいものです。
会社主催のお祭りやイベントで、実習生たちが自国の料理をふるまう光景もコロナ禍前はよく見られました。 中国人の実習生たちが大量の水餃子を包んでは茹でていたり、ベトナム人の実習生が揚げ春巻きを揚げていたり、インドネシア人の実習生が大きな鉄板でナシゴレンやミーゴレンを香ばしく炒めていたり。
みんな、とても誇らしげな顔で、
「これ、わたしの国の料理!」「食べて食べて! 美味しいよ!」と
普段見ないほどの笑顔で勧めてくれます。
食べる人も「初めて食べたけどとても美味しい!」。 「毎年これが楽しみなのよ(笑)」とおっしゃる方も。
食事には文化や思いがぎゅっと詰まっています。それぞれの味を通して、少しずつお互いを知っていく。そうして良い関係が深まっていけば良いなと思うのです。