この日は監査でした。
三か月に一度の監査では、実習生たちの宿舎も訪問します。面談はもちろん、何か困っていることが無いか生活環境を確認したり、宿舎の清掃の状況も確認したりします。壊れている設備が無いかなどもチェックします。
会社の方がいらっしゃらない場面ですと、実習生たちもリラックスした表情でいろいろ語ってくれます。
この日、ベトナム人実習生の宿舎を訪れてみると、夜勤明けの人たちが宿舎の庭で畑仕事をしていました。
「これは、ミントだね?」
「そうー、ミントー」
そう言って、ミントを収穫しています。一枚葉っぱをむしって手渡してくれました。爽やかな香りが立ち上り、一瞬だけ暑さをはらってくれました。
ここのミントは、先輩が100円ショップで種を見つけて買ってきたのを植えて、みんなで手をかけてここまで増やしたのだそうです。日本では繁殖力が旺盛すぎることもあって嫌われることもあるミントですが、臭み消し・香りづけ・食欲増進・健康効果などの効果があるため、ベトナムではとても人気があります。
ミントのほかにもパクチーやドクダミなど、様々なハーブがベトナムでは料理に使われます。日本人もシソやネギなどの薬味を使いますが、ベトナム料理では「ハーブは具材の一部」としてたっぷり使うのが特徴なんだそうです。
「今夜のご飯は何?」と聞きましたら、
「今日は鶏肉。鶏肉とこれを………」
鶏肉とミントを一緒に煮て、食べる時にも生のミントの葉っぱをあえて、ニョクマムに付けて食べると、
「とてもとてもおいしー!(笑)」
のだそうです。本当に美味しそうですね。
リラックスした彼らの表情と爽やかなミントの香りで、私も癒されました。